スケジュール管理・OpenAI Soraを使ってみた話

竹内(@rikson_en)と話すたびに、プライベートのちょっとしたハプニングと仕事の課題が絶妙に交じり合っているのを感じる。

先日は休みの日にダラダラしすぎて、奥さんとケンカしたという話を聞いた。 筋トレに行くはずが朝から飲んでいて、昼近くにようやく起きてもコーヒー片手にのんびりしていたら、奥さんから「いつ行くの?」と詰められたそうだ。 予定どおり正午までに出発していれば波風立たなかったのかもしれないが、「休みまでスケジュール管理されたくない」と竹内は一人飛び出し、筋トレしに行ってミスドで仕事をするハメになったらしい。 夫婦間の問題としてはよくある話だけれど、彼はこの出来事を「見積もり」に置き換えて考えたらしい。 確かに、コーヒーを飲み終わる時間や眠気の残り具合は、ソフトウェアの実装工数と似ているかもしれない。 絶対に何時とは言い切れず、あくまで何%の確率なら何時、残りの%ならプラス30分かかる、といった不確実性がある。

そんなソフトウェア開発の見積もりの話になると、竹内はやたらと熱が入る。 見積もりとコミットメント、そしてターゲットを混同するなというのが最近の彼の持論らしい。 つまり、実装にかかる純粋な工数を「見積もり」と呼び、それを“いついつまでにやります”という「コミットメント」とは切り分けて考えるのが大事だと言う。 さらに、ビジネス上の締め切りやリリース時期という「ターゲット」を先に決めると、そこに合わせて工数を調整しがちでデスマーチを招く危険性が高い。 自分の会社でもターゲットのないタスクにまで厳密なスケジュールを組んでしまい、結局は誰も得をしないケースがあるようで、そこをどう変えられるかが彼の最近の課題になっているという。

一方で、会社の目標設定も似たような問題を抱えているそうだ。四半期ごとに何を達成したのかを人事評価に反映させる仕組みがあるが、達成度ばかりを追いかけると大きなインパクトを見逃してしまう。 途中で優先度が下がったタスクに固執してしまったり、もっと大事なことが急浮上したのに動けなくなったりするのがもったいない、というのが竹内の考えだ。 ただ、あまりに目標をコロコロ変えてしまうと逆に「迷い」が生じて行動が鈍るリスクもあり、短いスパンの四半期に、どこまで柔軟性を持たせるかが悩ましいところだろう。 僕個人としては、ほんの3カ月くらいなら多少はやり切ってしまうという姿勢も悪くないと思うけれど、竹内としては「もっとアジャイルに目標を再調整できる仕組みが欲しい」と考えているらしい。

そうこうしているうちに、竹内が「リクソン」という人物の話をちらっと出してきた。 ただの友達かと思いきや、実は竹内のアーティスト名らしいが、秘密にしたがっているわりにはすぐに判明してしまう何とも微妙な設定だ。 そのリクソンが担当している当Podcastのエンディング曲「ミッドナイトドライブ」が完成したというのが今回のトピックの一つだった。 12月24日にリリースされたそうで、その楽曲と合わせる映像をAIで作ろうとしたのが意外に苦労したらしい。 Stable DiffusionやOpenAIのツールを使って「夜の高速を走る男女」という雰囲気を出そうとしたが、人物の顔が歪むとか車線がおかしいとか、やはり細かいところで不自然さが出てくるようだ。

それでも夜景や背景だけならそこそこ成立する映像ができて、どうにかプロモーションに使える素材を作れたという。 生成AIの進化は目覚ましいけれど、完全にイメージどおりの画を一発で手に入れるのはまだ難しいのだろう。 音楽面でもOpenAIに楽曲データを渡して音圧やRMSレベルを評価させる実験をしたようだが、やはり深い添削やアドバイスまではしてくれなかったと嘆いていた。とはいえ、完成した「ミッドナイトドライブ」はAIの協力もあって雰囲気のあるプロモーションを用意できたようで、彼は上機嫌だった。

日常のささいなケンカからプロジェクトの目標設定まで、竹内の話はいつも“うまくいかない”ネタを盛り込んでくるから面白い。 そして最後は新しい曲の告知をしれっと挟んで去っていくあたり、やっぱり彼は竹内というよりリクソンそのものなんだろうなと感じてしまう。 僕としては、次の筋トレの予定くらいはもう少し正確に伝えて奥さんの不機嫌を買わないようにしてほしいと思いつつ、彼のプロジェクトやアーティスト活動は今後も楽しみに追いかけていきたいと思う。