Vibe Codingって結局ナニ?―雰囲気コーディングの正体を暴く
- 10 Jun, 2025
筋トレへ向かう車内で毎度おなじみの技術談義――今回で早くも 第43回 を迎えた『We Are On The Way』。 テーマは近ごろ巷で囁かれる「Vibe Coding(バイブコーディング)」と、その生みの親 Andrej Karpathy の思想だ。 雰囲気だけでコードを書く? 冗談とも本気ともつかない言葉が、AI開発の現場をどう揺らしているのか。竹内(@rikson_en)との往復トークを、僕(安倍)の視点でまとめてみた。
ジムへ向かう車内で火が点く
運転席の竹内が切り出したのは、社内で急に流行りだしたという「バイブコーディング」という単語だ。ラッパーが「バイブスが足りねえ」と叫ぶあの“バイブ”を、プログラミングと結びつけるセンスにまず違和感を覚えたらしい。「AIで自然言語を投げればコードが書ける」という――それだけ聞けば単なるAIコーディングの言い換えなのだが、不思議なことに言葉だけが一人歩きし、格好の良い概念として崇められている。
僕自身はラップ文化に疎いので「バイブ」の響きに思い入れはないが、確かに技術的実体のない流行語がもてはやされる様子は少し滑稽にも映る。竹内は「DRYのような具体的原則とは違って中身が空っぽ」とバッサリ。半分ジョークで使われるはずの言葉が、妙に神聖視されている現状にモヤモヤしているようだった。
Andrej Karpathyと「ソフトウェア2.0」
そこで登場するのが、バイブコーディングの火付け役とされる Andrej Karpathy。元 Tesla の AI 部門で名を上げ、OpenAI でも活躍したスター研究者だ。数年前に彼が提唱した「ソフトウェア 2.0」は、ロジックを人間が逐一書く従来型から、AI が重み(パラメータ)で振る舞いを獲得する新しい開発様式へのパラダイムシフトを指す。
僕は、バイブコーディングという言葉もその延長線で「AI時代らしいキャッチーな旗印」として投下されたのではないかと考えている。キーワードが広まりやすいのは良いが、名前先行で崇拝されると本質がかすむ危うさもある。
MCP対応とAIツールの群雄割拠
話題は自然と最新ツールへ。竹内が気にしていたのは、ChatGPT や Claude、Cursor が順次対応し始めた MCP プロトコル(AIアプリケーションがLLMと外部のデータソースやツールを接続するための仕組み)だ。
- Cursor はエディタ内で完結する統合型。
- Claude Code は CLI/エージェント的に動かしやすい。
- ChatGPT のアプリ版も MCP に追随予定。
実装レベルではプロンプトテンプレートが未対応だったり、tools機能だけ動くなど細かな差はあるものの、「そのうち全部揃うだろう」というのが僕らの共通見解だ。結局はモデル選択と UI 体験の好みの問題へ収束する。
Gemini vs. Copilot:コードレビュー合戦
社内では Google Gemini が Pull Request に自動レビューを貼りつけてくるが、コメントがすべて英語なので竹内はスルーしがちだという。それでも一度だけ、提案コードをそのまま採用したほど精度は高かったようだ。僕自身も Copilot レビューより実用的だと感じる場面が増えている。
ただ、AI レビューは往々にして“褒め殺し”から入る傾向があり、行間を読む文化の日本人には上から目線に映ることも。プロンプトのさじ加減ひとつで印象が変わるあたり、AI から人間がコミュニケーション術を学ぶ時代なのかもしれない。
まとめ:雰囲気か、本質か
雰囲気(バイブ)でコードを書く――言葉だけ聞けば軽薄にも聞こえるが、背後にあるのは「AI と人間の役割分担が変わる」という真面目なテーマだ。キャッチコピーに踊らされず、何が本当に生産性を上げるのか を見極める力こそエンジニアのメタスキルになると、今回の対話で改めて実感した。
次回は AI エージェントを実戦投入した開発フローのリアルを語る予定???筋トレ後のプロテイン片手に、また熱く語り合おう。鹿肉の配給も忘れずに――。
今回の話に出てきたツール等
- Vibe Coding
- Software 2.0
- ハピタス
- Andrej Karpathy
- MCP(Multimodal Communication Protocol)
- ChatGPT
- Cursor
- Claude / Claude Code
- GitHub
- GitHub Actions
- GitHub Copilot
- Gemini (Google)